うず高く積まれていました。
「ふーっ」コタンはため息をつきました。
食事をする喜びなんていうものも、とうにありません。
口の中に入ったものをぼちぼち噛み砕きながら
ぼんやり部屋の中を見渡しました。
すると、その時そのきたない山の下のほうに
美しく黄色に輝くものがあることに気がつきました。
コタンは食事を脇に置くとその黄色いものをまじまじと見ました。
さらに近付いてみると
それは、小さく輝くつぼみをつけた植物だということが
わかりました。
「これは、あの時の?」
数日前に見たあの緑色の芽をなんとなく思い出しました。
「いつのまにこんなに大きくなったのかな?」
コタンはしゃがみこんでその美しいつぼみを見ました。
「きれいだな」
そのつぼみはコタンの部屋の中にあるものの中で
唯一美しいものでした。
「美しい」と感じるなんてほんとうにひさしぶりのことでした。
そんなわけですこしのあいだそのつぼみに見とれていると
ダダダダダダッ…
突然いつぞやのねずみがどこからか現れ
部屋の中をくるったように走り回って壁にあいいた穴から外へ
逃げていきました。
「わあっ!」
びっくりしたコタンは前につんのめりそうになり
あわてて手をつきました。
ぐしゃ…、その時偶然にもさきほどまで見とれていた
あの美しいつぼみをもった植物をおしつぶしてしまったのです。




